ききみみ/2012


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山へ星を見に行った。
星も見えたのだけれど、一番記憶に残ったのは
小さなコンロで作ったインスタントラーメン。
真っ暗で見えなかったそのラーメンはぶよぶよと
ふくれていった。
汁をすって、膨張する。
ラーメンは意図せず、新しい味になり、
その姿は暗くて見えないけれど、膨張していた。

目をそばだててみる

暗くても、星の光がみえていることに気づくのは、火を消したあとだった。


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ガーディアンガーデンからのコメント


藤井昌美は、第26回写真『ひとつぼ展』(2006年)に入選し、霞がかかったような淡い色彩のスナップが印象に残る作品「オブラート」を発表しました。
その後、フイルムの巻き取りに失敗し、感光したことに気づかず現像所に出したところ、“失敗”していたと報告を受けます。
そのネガを見た藤井は、教科書的にこれを“失敗”とみなすことに 違和感を感じました。そこで今回は、いわゆる“失敗した写真”を
作品として見つめ直そうとしています。
現像の際に傷付いてしまったり、フイルム装填時に感光してしまった“失敗した写真”と、これまで通りストレートに撮影したスナップや
意図的に多重露光を重ねた写真を織り交ぜて再構成しています。このシリーズには、藤井の他のシリーズと同様に、
誰もが見過ごしてしまうような何気ない景色へのあたたかい視線が感じられます。
また、透明感のある写真一枚一枚に、それぞれの物語が見え隠れし、想像力がかき立てられる作品です。さて、“失敗した写真”とは……。
ごゆっくりお楽しみください。

Guardian Garden Web Gallery/

タイプCプリント・ゼラチンシルバープリント 30点